高校へ入って大変嬉しかったことは、多くの懐かしい顔に出会えたことです。私が
5年生の2学期まで在学していた長橋小学校時代の友達に約4年振りに会えたの
です。一緒に通学した輝男君。計算を競い合った尚人君。掃除当番で雑巾を投げ
合った国男君。「ま~こ 窓から 尻出して 蜂に刺されて え~んえん
」とやじっ
て泣かせたことのある幼馴染のマコちゃん。そして、一番好きだった女の子の和子
ちゃん。その和子ちゃんが同じクラスになるとは夢にも思っていませんでした。
今の学生なら、早速デートに誘いルンルン気分になったのでしょうが、何せ初心
(ウブ)な私です。「お久し振り
」の一言のみの挨拶しかできなかったのです。
私は、彼女に弱みがあったのです。理由は小学4年生にさかのぼります。
掃除当番が一緒の時、彼女の気を引くため絞(シボ)った雑巾(ゾウキン)を持って
「和子!いくぞ
」
と言って、思い切り投げ渡したのです。ところがその雑巾がまともに彼女の顔面へ。
アブネ━━Σ(゚д゚;)━━!! 彼女は痛さのため、屈みこんで泣いてしまったのです。
先生に注意され謝った ヾ(_ _*)ハンセイ・・・ のですが彼女は許してくれません
・・。
したがって、彼女との6年振りの再会にもかかわらず、雑巾事件の映像が目に焼
きつき、許してくれない彼女に気安く話などできるわけがないのでーす。
私は、学生時代も新婚旅行中も女性と腕を組んで
歩くことがありせんでした。
恐らく幼少時代からの家庭教育の影響ではないでしょうか。母は
「佐藤さんの馬鹿息子、また中川さんの娘としゃべっていた。本当にあの子らは
不良だよ
」とよく話をしていたのです。男女が一緒にいるだけで不良扱いにされ
た時代です。だって、「男女七歳にして席を同じにせず」という言葉をご存知だと
思うのですが、戦前までは男女共学ではありません。二年生から男組と女組に分
かれるクラス編成があったようです。そのような教育を受けてきた父母ですから、
男女が仲良く話しをするとか、ましてや腕を組んで歩くなどは考えも及ばないことな
のです。父の口癖は
「女と金には気をつけろ
」です。初心な私が、このような家庭教育を受けてきた
ものですから、今でも男女が腕を組んで歩いていると罪悪感を覚えるのです。
教員になった私は、好きな子にいじわるする子をよく見かけました。そんな時、
この雑巾事件のことを話しました。
■ 人に好かれることは嬉しいことだ。
■ 好きだと素直に言えず、いじわるして気をひこうとする態度は、好ましいことで
はない。好きな人に嫌われてしまう。
■ 人に嫌われることは悲しく惨(ミジ)めなことだ。しかし、もっと悲しく惨めなことは
「人を好きになれないこと」だ。
■ 人を好きになれる人は、心の広い人であり、とても素敵なことなのだ。
この話を聞いた教え子の一人が、卒業文集に次のように書いてしまったのです。
『初 恋』
初恋の人は、きれいな人で笑い顔のすてきな人である。知っている人はだいぶい
るというので、ビックリした。教えてといった人は上田さん、山川さんなどたくさんい
るなか、村田さんがしつっこく聞いたので、ぜったい教えないという約束で教えた。
でも、女はおしゃべりだとゆうことが分かった。初恋の人まで言ってしまい、村田が
憎たらしくなった。でも、先生が
「人に好かれることは、嬉しいこと。人を好きになることは、心の広い人だ。」
と言ったので、ほっとした。
好きな人の名前は、かきくけこの上から五つ目、まみむめもの上から五つ目、らり
るれろの上から二つ目である。もうわかったと思うが、気は変わらない。スクールキ
ャンプで歌に出てとても嬉しかった。わざと逆らったり、まねをしたりしたこともあっ
た。アイラブユー、なんちゃって。でも、きれいだなぁと思う。将来その人は、どんな
人になるんだろう。きっと、もっときれいになるんじゃないか。
教育とは恐ろしいものですね。恥じも外聞もはばからず卒業文集で告白するとは。
予想外の展開に戸惑う私だったのです。
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