「赤鼻のセンセイ」 院内学級物語(TV)
昭和38年度のことです。私は教員として初めて1年生を担任しました。僅か13名
の児童なのに単式学級(単一の学年の在学生で編制する学級)なのです。随分少
ないことに戸惑いがありましたが大変楽でした。テストの採点も十数分で済みます
し、児童とのふれ合い活動も十分確保することができたからです。
ただ、知的障害と情緒障害をあわせ持つ児童が一人おりましたが、私になついてく
れましたし授業妨害をすることも少なかったので助かりました。
勿論、保護者も教育熱心で協力的でありましたので、教育効果がめきめきと上がっ
てきました。
ところが、一番理解力があり大人びいた子どもであるH君が、3学期から札幌医科
大学病院小児病棟に入院してしまったのです。病名はよく分らないとのことで曽祖
父母・祖父母・父母(三世代同居家庭)が唯一人の子どもである曾孫・孫・息子に当
たるH君に対して大変心配していました。
私は担任として何とか元気づけようと思い、クラスの友達全員でお手紙をやった
り、絵を送ったり、私や校長が見舞いに行ったりしました。しかし、治療の効果がな
かなか現れてきません。
ここにH君のお手紙を紹介します。
みなさんお手紙ありがとう。みなさんは元気でいいね。ぼくは一月に入院
してから4ヶ月も病院にいるんだよ。病院にも慣れて友達もできたけれど、
やっぱり学校の方が知っている人がぐんと多くていいよ。時々いろいろな
人がお見舞いにきてくれます。もう、病院はこりごりになりました。みんな
と一緒にランドセルをしょって学校へ行きたいです。
病院ですっかり病気を治して退院できるまで待ってて下さい。この間、校
長先生がお見舞いに来てくださって、本をもらいました。学校の運動場に
ブランコと滑り台とジャンギルジムを作ると言いました。僕が退院して学
校へ帰る頃には、もうできているかも知れませんね。
みんな一人一人にお手紙を出したいけれど疲れるので皆で読んで下さ
い。 では、この辺で、さようなら。
2年生の皆さんへ
※読み易いように平仮名を漢字変換しております。
この時代はまだ院内学級(病弱児に当たる子どもたちが入院中、教育を受ける機
会を提供される教室で、特別支援学校から教師が派遣されて教育的支援にあたっ
ているが、その教師が担当する教室)が設置されていない時代ですので、ご両親な
どは学力問題でも相当悩んでおりました。
私は、月に一度位しか見舞いに行けませんでしたので、ワークブックなどを事前に
渡しておき、学校での学習進度などはお手紙で知らせていました。
H君は肝臓障害でしたが、確か9ヶ月後に退院してきました。もともと知的理解の
早い子でしたし、まだ2年生で学習内容も難しくなかったので、学習面で支障をき
たすことがありませんでした。しかし、体力が可なり衰えているため、休み時間での
遊びや体育の授業には相当に神経を使ったことを思い出します。
現在は、障害児に対していろいろな学級が開設されております。視覚障害、聴覚障
害、知的障害、情緒障害、言語障害、肢体不自由、病弱者への特別支援教育が
制度化されております。各市町村教育委員会が就学指導委員会を開き、各専門
分野の方々の意見や助言を生かして判定することになっているのです。
障害をもたれている保護者の皆さんは、障害児学級開設のため早めに教育委員
会に情報提供することが望ましいです。教育委員会では学級開設に伴う教員の配
置、備品・教材等の整備のための予算獲得のため定例議会や臨時議会で補正予
算内容を説明し、承認を得なければならないのです。
ですから、今日申し出たから数日中に開設されるというものではないのです。ご理
解下さい。
なお、参考までにご紹介しますが、7月8日から放映されたテレビ・ドラマの新番組
「赤鼻のセンセイ」が院内学級内における生徒と先生の関係等を面白可笑しく取り
上げています。教員の難しさも理解できるドラマです。
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