10.21スト当日の朝です。職員室で分会会議が開かれています。管理職は隣の
事務室で心配しながら成行きを注視。
分会長の私が、
「本日のストに関わって、参加体制を確立するために組合員1人1人の意志を再確
認します。1年ブロックから順番に表明して下さい!」と促しました。
ところが、学年主任の5名と同じ町内に勤めているある学校長の娘が不参加を
表明。そのことを知った教員の1人が、
「何ということですか!あれほど分会会議を重ね、本闘争の意義を理解し参加体
制を確認してきたにも関わらず、一夜明けて脱落者が出るとは情けない!私は仲
間として誰を信用していいか分らなくなりました。残念ですが私も脱落します!」
と言うや否や机にひれ伏し泣いているのです。
現段階でストの不参加者は9名に膨れ上がっているのです。組合員29名に対して
約3割が不参加なのです。それを知った組合員の1人である学年主任(台湾から
の引揚者)が、これまで参加すると表明していながら態度を変えた理由を私達に分
るように述べて欲しいとか、共稼ぎの女教師(2名)に対して、
「あなた方は共稼ぎでいわゆる二馬力です。経済的に余裕があるからストに参加し
ないのではないか!?私達の経済状況も理解し共に闘おうではないですか!」
とまた説得し始めるのでした。
このようなやり取りを繰り返しながら、3時間目の終了近くの時です。4年生のある
児童2人がドアをノックして職員室へ入るなり、大きな声で
「○○先生、E君が机の角に頭をぶつけて血が出ています!直ぐ来て下さい!」
との報告。
私はこの報告を聞いて直ぐ立ち上がり、
「非常に残念ですが、これまで長時間を要して話合いをしてきましたが、。状況は誠
によくありません。しかも、子どもに怪我を負わせてまでストをすることは許されるも
のではありません。私は分会長という名のもとに、現時点でこのストを回避すること
を北教組A支部へ報告します。
従って、先生方は速やかに各教室へ出向き、子どもの安全確認と授業を行うようし
て下さい。なお、支部オルグを要請しますので来られたら放送で連絡します。
以上、宜しくお願いします。これで分会会議を終わります。」
と通告し、事務室から支部に経過報告し、オルグを要請したのです。
結果的に本校における10.21ストは回避され、怪我の児童もおでこを少し傷つけ
た程度であり、保健室で消毒と簡単な治療で済んだのです。
しかし、早朝から延々と分会会議を開き、授業も約3時間つぶすことになったのです
が、これもストと同じではないかと思うのですが、何故か校長は
「良かった!良かった!先生、どうもありがとう!」と繰り返していたのでした。
要するに一部授業がカットされても、全国統一ストを回避できたことに対して、
安堵の気持ちと職責を果たすことができたため喜んでいたのでした。
では、他の学校はどうだったのでしょうか。
(つづく)
《注釈》 この時代、教頭昇任は選考試験はなく校長の指名制だったのです。
ですから、学年主任や教務主任(部長)は一番教頭になるための重要ポストであっ
たのです。従って、ストの不参加者は教頭職を狙っている人達や校長に逆らわない
で、異動の際により有利になるようにと考えていた教員等は、管理職の説得に応じ
たのでした。
私はまだ27歳でしたし転勤してきてから2年目ですので、人事面は全く関係なかっ
たのです。ただ、本音を語らない組合員や目先のことだけを考える仲間に腹がた
ったのです。
ストをすると行政処分がくる事は分っていましたし、たかが戒告処分で昇給が3ヶ月
延伸される程度で、10月昇給が1月に伸びるだけです。人事院勧告の4月実施が
10月に延ばされると、戒告以上の実害があるわけです。
こう考えると、ストを決行し政府に強い圧力をかけることが必要である、と私は真剣
に考えていたのですが、その考えも度重なる分会会議や仲間のエゴ的な言動を
目の当たりにし、次第に挫折していったと言っても過言ではありません。
いずれにしても、統一ストに対する構えを変えざるを得ない出来事でした。
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