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2008年12月 6日 (土)

妊産婦を たらい回しの実態

二学期が始まって間もない、暑い昼下がりのことです。

下校途中、うつむきながら歩いてくる母に出会いました。

「お母さん、どこへ行くの?」と聞いたのですが、かぼそい声な

ので聞き取ることができません。

母は病院からの帰り、バスの中で大量出血をしたのです。

恥ずかしいやら、ビックリするやらで、家に直ぐ戻り、着替えを

して、再び病院へ向かう途中だったのです。

母は前置胎盤(ゼンチタイバン)で緊急手術が必要になったの

です。本来、子宮の上部にできるはずの胎盤が、内子宮口に

位置してしまう状態なのです。妊娠後期には警告出血と呼ば

れる突然で無痛性の出血が起こり、大量出血のときは

帝王切開となるそうです。

大量出血のため輸血が必要となり、一番上の兄が会社の人に

頼み人数分の血を確保しました。当時、血は大変高額。

小樽市立病院の医者は、

母子共に危険なので親戚や必要な人に知らせた方がいい

と父に告げました。

手術は氷で腹部を冷やし、麻酔なしで切開した??そうです。

帝王切開は当時として珍しい手術だったため、十数人の医大生

が回りを囲み、医者の説明をメモしながら行われました。

その時の様子を母は、

地獄の苦しみと、さらし者になったような気持ちで、こんな

いは二度としたない」と言っていました。

取り出した子どもは、仮死状態です。産声をあげないのです。

医者は、赤ん坊を水とお湯に交互につけたり、逆さに振り回し

たりしました。そのような事を繰り返し行ったところ、

「オギャーsign01」と産声をあげたのです。その声を聞いた父は、

「困ったー??」と言ったとか。

術後、兄が母に「母さん、どうしてこんなになったの?」と問うと

母は「同じ機械も20年以上使うとガタくるしょsign02」とのこと。

昭和24年8月20日。予定より2ケ月早く妹(6女)の誕生です。

体重450匁(モンメ~約1,700グラム)の未熟児です。

これで我が家はまた11人家族になったのでーーす。

[注釈] 生きている妊婦に帝王切開手術を行うようになったの

は、世界では17世紀後半からだそうです。けれども母子共々

助かる確率は少なかったようです。我が国では華岡青洲の

乳癌手術から5年後の1852年に埼玉県において、難産で既

に胎児が死亡した母親の腹を切開したのが最初なのです。

驚いたことに、この時代は難産の苦しみがあまりに酷(ひど)か

ったので、手術は麻酔なしで行われていたそうです。

母の場合は、医者によると小樽市における帝王切開第1

とのことでしたが、術後、1年位体調が悪く、出血が続いた

ので病院へ行くと、手術の時の小さな器具か、ガーゼか何か

が体内に残っているということで、再度、少し切除してくれたら

スッキリしたとのことでした。今なら医療ミスで訴えることもでき

ますが、そんな行為をする人がいない時代でした。

現在は医療技術も世界に誇るほどの進歩を遂げ、病院や医者

の数も多いと思います。

しかし、救急妊産婦受け入れを拒否する病院が多いとの

ことですが、私は理解に苦しみます。

札幌市内の未熟児が七病院に受け入れられず、新生児集中

治療室(NICU)がない病院へ運ばれた後に死亡したのですが、

通報から搬送まで1時間半もかかったとのこと。消防側と医師

側の考えの違いによりこのような悲劇が起きたようです。

北海道の場合、救急搬送中の産婦人科患者の受け入れを医療

機関に断られたケースが、2007年一年間で127件なのです。

理由は、設備不足などの「処置困難」や「専門医の不在」が多く

深刻な現状が浮き彫りになったのです。

救急車もなく、大量出血しても木炭で走る乗合自動車(バス)で

病院へ行かなければならなかった時代に、必死で処置(手術)

する医者の行為は崇高なものです。昨今は医療に携わる人々

が「人の命」より「病院経営」に力点が置かれているのではない

かと錯覚するほどの行為もあります。技術進んで心が失せる

一部の人達に反省を促したいと思うのは私だけでしようか。

日本医師会をはじめ医療行政に携わる人達が、早急に改善策を

打ち出すことを強く望みます。「医は仁術なり」とも申しますが

医療現場の実態は悲惨な状況を呈しているそうです。

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生育エピソード」カテゴリの記事

コメント

●なんで急患の受け入れを断るの?

・(人員・設備が足りない…などの)物理的問題で、(受け入れると犯罪になってしまうケースがある…などの)法的問題で「受け入れ不能」だからなんです。

●なんで「専門外だから」が断る理由になるの?

・「専門外の患者を受け入れるのは犯罪」という司法の判例(奈良心タンポナーデ事件)があるんです。

●ベッドが無いなら、廊下で治療すればいいんじゃないの?

・「設備不十分な状態で患者を受け入れるのは犯罪」という司法の判例(加古川心筋梗塞事件)があるんです。

・そもそも、「ベッド」「ベッド」って言われてますけど、病院でいうところの「ベッド」は、心電図とか、酸素マスクとか、呼び出し用ボタンとか、それを管理する人員とか、それら全て「込み」ですからね。もはや「ベッド」というより「設備」と言ったほうが適当かも。

●応急処置してから、他の病院に移すのは駄目なの?

・「応急処置の後、他病院に転送するのは犯罪」という司法の判例(上に同じく、加古川心筋梗塞事件)があるんです。

投稿: 都筑てんが | 2008年12月 6日 (土) 06時39分

●なんで、一度断った病院が、後になって受け入れるなんて事があるの?

・救命中であった患者が「落ち着く」か「亡くなる」かのどちらかで、病院側に「空き」が出来たからです。

●有名人や金持ちだったら嬉々として受け入れるんじゃないの?

・西村真悟議員の息子の飛び降り自殺…アレも、重度のうつ状態で入院の必要があるとされながらも、「ベッドが無い」という理由で入院できませんでしたよね。もはや、コネやカネではどうにも出来ない程に、患者の受け入れが困難な状況なんです。

●ぶっちゃけ、人の命より金儲けのほうが大事なんでしょ?

・金儲けのほうが大事だったら、そもそも、不採算部門である救急なんて、最初からやりません。

●医師が足りないなら、海外から医師を呼んだらいいんじゃない?

・本国より遥かに待遇の悪い日本に来る理由が見当たりません。…というのも、実は、日本の医師の待遇は、諸外国のソレよりも遥かに悪いんです。

投稿: 都筑てんが | 2008年12月 6日 (土) 06時39分

●ドクターヘリを導入したら?空からなら直通でしょ?

・ヘリを導入するにも、周囲の建物が邪魔で安全に飛べなかったり(ビルに激突、民家に墜落…の危険性あり)、ヘリポートのある(作れる)病院が少なかったり、騒音問題で導入を反対する住民がいたり…など、色々と問題が山積みなんです…。

・あと、ドクターヘリを必要とするほどの重症患者を扱う「3次救急」自体の数が減っていることも問題の一つとなっています。

●リアルタイムでベッドの空き情報の分かるネットワーク、システムを作ったらいいんじゃない?

・いくら良いシステム、良いネットワークを作っても、医師の手術スピードが上がる訳でもなく、患者を診るための設備が増える訳ではないため、根本的な解決とはなり得ません。

・また、それに近いシステムが既にあるのですが、現在、病院側にそのシステムを操作するマンパワーが足りないために、空き情報をリアルタイムに更新出来ない…という問題が発生しています。

投稿: 都筑てんが | 2008年12月 6日 (土) 06時40分

●救急病院が急患を受け入れられないなら、救急病院を辞めちゃえば?

・現実に次々と辞め…ていうか、潰れていってるんです…。

・特に、重症患者を扱う「2次救急」、救急最後の砦である「3次救急」が減っていることが深刻な問題となっています。

・また、一つの病院が救急を撤退してしまうと、その病院が受け入れていた患者が他の病院に流れ込み、その病院のキャパシティをオーバーして受け入れ不能…という、「受け入れ不能のドミノ状態」に陥ってしまう…という危険性があります。

●1次・2次・3次って何?どれも救急病院じゃないの?

・救急病院は、患者の緊急度の度合いによって「1次救急」「2次救急」「3次救急」と種別されています。

・「1次救急」は、入院や手術の必要が無い患者が対象、「2次救急」は、入院や手術が必要な患者が対象、「3次救急」は、1次・2次では対応できないレベルの重症患者が対象となっています。

・ここ数年、救急医療が不要なレベルの軽症患者が、夜間救急…特に「2次救急」「3次救急」に駆け込み、夜間救急がパンク状態になっている事が、深刻な問題となっています。

投稿: 都筑てんが | 2008年12月 6日 (土) 06時40分

●2~30件も断わられる事なんてあるの?

・大多数の救急が、マンパワー不足・キャパシティ不足のために、常にパンク寸前(or 本当にパンク)の状態に陥っており、2~30件、いや、それ以上断られる可能性は、大いにありえます。

・また、過重労働で医師が倒れる、燃え尽きて退職…などで、救急を辞める病院も出ており、今後は「受け入れ不能」状態が加速、最悪、「たらい回せる病院」すら無くなり立ち往生…という事態もあり得ます。

●救急病院が多い東京でも患者の受け入れが出来ないのはなぜ?

・救急病院は多いですが、それでも追いつかない程に人口が多すぎるんです。

・また、東京の周囲の他県の受け入れ状況も非常に厳しく、他県からの救急患者が東京に流れ込んでしまっている…という問題を抱えていたりします。(大阪府も同じような問題を抱えている)

投稿: 都筑てんが | 2008年12月 6日 (土) 06時41分

救急医療の現実を扱った動画があります。

NEWS ZERO「救急崩壊」1日目
患者を断らざるを得ない「受け入れ不能」の実態。
http://www.youtube.com/watch?v=Bua7R0bQioo

NEWS ZERO「救急崩壊」2日目
経営不振で「2次救急」が次々と撤退、「2次救急」レベルの患者が「3次救急」へ…。
http://www.youtube.com/watch?v=sQ7ufv7bfzM

NEWS ZERO「救急崩壊」3日目(1/2)
夜間救急に多数の患者が押し寄せパンク状態、その多くが、救急医療が不要な「軽症患者」。
http://www.youtube.com/watch?v=akEbC5khXKE

NEWS ZERO「救急崩壊」3日目(2/2)
「私たちの病院を守ろう」と立ち上がった市民。
http://www.youtube.com/watch?v=8VQlgK3UgQQ

上の動画を元に立てた記事です。
よろしかったら読んでみて下さい。
http://punigo.jugem.jp/?eid=453

投稿: 都筑てんが | 2008年12月 6日 (土) 06時41分

「受け入れ拒否、けしからん!」という人のブログ記事と、患者を断らざるを得なかったお医者さんのブログ記事を対にしたものです。

       ↓

「やってみたまえ」 vs 「やってみなさい」
http://punigo.jugem.jp/?eid=496

よろしかったら、お読みになって下さい。

投稿: 都筑てんが | 2008年12月 6日 (土) 06時49分

なぜかマスコミは受け入れ拒否って書きますが、受け入れられるマンパワーがないから断らざるを得ないのです。
つまり「受け入れ不可能」の方が適切です。

入院中の患者さんを沢山抱えて限界の状態だったら受け入れることはできませんよね?
ブログ主さんは手いっぱい限界まで荷物を持ってる時に「もうひとつ重い荷物を持て」と言われたらどうしますか?

両手が塞がっていたら「もう持てない」と言いませんか?

荷物ならまだしも医師の手に委ねられるのは患者さんの命です。すでに預かっている患者さんたちの命に何かあっても大変です。
助けたくてもマンパワーが足りなくて泣く泣く断っているとは考えられませんか?

日本の医師1人が抱える患者数は諸外国と較べると多いです。
しかし日本の医療は諸外国と較べて高レベルで且つ医療費は安いです。
日本の医療が多くの医師のモラルと志で支えられてきたのがわかりませんか?
でも医師も人間です。限界が来てるんです。

全国的に医師不足で、多くの勤務医は36時間連続勤務でほぼ眠らず食わずで働くこともあって過労死寸前です。(過労死している医師もいます→http://blog.m3.com/nana/20071120/1)

現場の惨状を知らずに現場医師を非難するとますます医療崩壊が進んで受け入れ不能事件が増えます。

お願いですからマスコミに惑わされずに現場の惨状をきちんと知って下さい。
医療崩壊して困るのは我々一般人です。どうか宜しくお願いします。

投稿: 一般人 | 2008年12月 6日 (土) 07時43分

元教師の経歴をお持ちなのであれば
授業前に教える事に付いて下調べをきちんとしたのでは無いでしょうか?

この記事にはマスコミ報道のみを鵜呑みで書かれているようで
一度医療者側のブログ等も読んでみては如何でしょうか。

今回の事件は「去年の」11月の事件でしたが
それが今更発覚したのは?
http://d.hatena.ne.jp/Yosyan/20081203

正直、今の医療とお母上がご出産された頃とでは
状況が違いすぎます。

物理的に受け入れたくても受け入れられない医者の無念さを
我々市民は理解すべきではないのでしょうか
そして、その状況を医療費削減の錦の旗を掲げた
国が作り出していることを。

医者の数(医学部の定員)も、病院の報酬も(診療報酬)
病院のベット数も決めてるのは国です。

投稿: : | 2008年12月 6日 (土) 07時55分

流石は教育長、母性を批判するようなことは本能的に避けられたのでしょうね。そういう優しさをお持ちの方で安心です。お母様の歯をくいしばっての、文字通り命がけの奮闘にも圧倒されます。重篤な症状なのに着替えてまたバスで通院、それも出血が恥ずかしかったなど、今どきの妊婦さんにはありえない強靭さですね。一番身近な親族であるはずの教育長様ですら、一歩引いたような書き方をなさってしまうほどの覚悟と胆力。恐れ入ります。まさに母上のそうした気概と生きざまをこそ、今、世に知らしめてほしいところでしたから、とても素晴らしいエッセイだと感じました。

また、そうした患者さんや回りの家族ばかりだったからでしょう、稀有な治療法にも果敢に挑戦する医師たちも活躍のしようがあったのでしょう。ガーゼ(かどうかは分からないとのことですが)一枚が問題になるなら幸い、なぜならそれは命が続いていることを意味するから!という本当に崖っぷちぎりぎりの中で、必死に命の糸を探し出し、繋ぎ留めようとしていた医師たちの気概も伝わってきます。

すでに数人の方がご指摘のとおり、逆境の中にあっても必死でそうした努力をする医師は、今まだ多数います。かつては県に一人も居なかったと仰せのそうした心意気は、今、実は多数の若い医師たちの心の中に小さな炎として継承されてきていたのです。だからこそ、訴訟やマスコミ、地域住民の心無いバッシングにも耐えて困難な手術でもやろうとする人がまだ残っているのです。

医学も医療も進歩して、もはやお母様のような覚悟や胆力を必要とする人はほんの一握りにも満たないほどになりました。これは喜ばしいことだったのですが、それでも生命は自然の業ですから、最新の医療でもどうにもならないことは残っていて、たまたまそれに当たる人々がいます。脳に問題を抱えつつのお産などその一例でしょう。

「安全なはずの病院でなぜ死ぬのか」

マスコミがよく使うこの言葉を、お母様がお聞きになったらなんとおっしゃるでしょう。変わってしまったのは医師ではないことにお気づきください。

心やさしい教育長様のことですから、きっとどなたの心にもやさしい解決法をお示しくださると思います。どうかもう一歩、踏み込んだ御配慮を頂戴したいと存じます。

投稿: PTA | 2008年12月 6日 (土) 09時49分

都筑てんが様、一般人様、PTA様へ
多岐にわたる医療現場や医師のおかれている現状がよく理解できました。ありがとうございます。マスコミのバッシングとその反響の大きさ等については身に覚えがありますので、よく知っています。報道記事の一側面からコメントすることにより、誤解を招き、多大なご迷惑をおかけした医療関係者に深くお詫び致すととも、日夜ご奮闘されておられる医師たちに、心からお労いと感謝を申し上げます。私も複眼的思考で望むよう努力するつもりです。

投稿: appochan | 2008年12月 6日 (土) 11時02分

はじめまして

社会が変化している観点で医療崩壊を考察している方のblog記事です。ご参考までに

マーケットの馬車馬

和魂と洋才と医療の崩壊(上)
http://workhorse.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_fab1.html

和魂と洋才と医療の崩壊(下)
http://workhorse.cocolog-nifty.com/blog/2008/03/post_fab1.html

社会が変われば医療も変わっていきます。「医は仁術」だの「思いやり社会」なんてのは同じ価値観を持っていることが前提であった社会だからであり、今後の移民を受け入れる社会を目指すなら、契約で信頼を買う社会になって当然かと思います。

投稿: kuma | 2008年12月 6日 (土) 11時22分

教育界も医療界も、マスコミの一方的なバッシングにより一般の方から誤解されることが多いですね。

お互いがんばっていきたいものです。

投稿: とおりすがり | 2008年12月 7日 (日) 00時55分

実際に人の命を救うのは「仁術」でも「使命感」でも「奉仕」でもなく、「マンパワー」「リソース」「キャパシティ」である。

その事から目を逸らして、「竹槍でB29を落とせ」というような精神論ばかり言ってる愚民には、医療は必要ないんじゃないかと思います。

以前は「医療崩壊を防ぐために自分に出来ることはないか」と色々と考えてきましたが、最近は、牟田口症候群のあまりの多さに失望し、「全国のお医者さん逃げてー!」というスタンスに変わりつつあります(って、現時点で既にそうなってますけど)。

もしも自分や自分の家族が必要な医療を受けられずに命を落としたとしても、医療従事者を酷使し疲弊させ続けた愚民を恨みこそすれ、命を削って頑張ってきた医療従事者を恨むことはありません。

投稿: 都筑てんが | 2009年7月 1日 (水) 00時43分

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